2024/08/20 08:23

【アクセサリー作家になった理由】


アクセサリー作家になったきっかけは何ですか? 
お客様にそう聞かれることが何度かありました。
 "好きなこと、得意なことを仕事にしたかったから"
いつもそう答えていて、 もちろん間違いではないのですが、きっかけは明確にありました。 
 実は数年前、久しぶり受けた健康診断で大病が見つかり、 手術をしなければならず、長く入院している時期がありました。 
初めて、目の前が真っ暗になったというか、青天の霹靂というか、今まで考えたこともなかった事態が自分にふりかかりました。
日々生きていると、人はいつかは死ぬということを忘れがちで、当たり前に長生きできると思っていた日常が、そうではないかもしれないと分かった時、一気に不安が押し寄せ、これからの自分の未来についてものすごく真剣に考えました。
情報が溢れすぎている今、病気について調べれば調べるほど不安になり、周りには気を使わせないよう明るく振る舞ってはいましたが、 心の中ではずっと暗闇の中にいて、「何故私が」という気持ちと、 当時まだ3歳と6歳だった子供達を残して、私はこの子達を残して死ぬのだろうか。
今はまだ死にたくない。
してあげたいことがたくさんある。
まだ、生きたい。
毎日そんな気持ちでいっぱいでした。 
入院の日が近くなり、不安もありましたが、病気になってしまったことは仕方がない。
何故こうなってしまったのかを考えるより、これから先の未来をどうするか考えよう。
絶対に完治して、生きる!
こうなったら、前向きに入院生活を楽しもう!と、 その楽しみの一つに大好きな手芸道具を持っていきました。 
物作りは何でも好きだったので何にしようか悩みましたが、病院で出来そうな物を考えて、 大量のビーズとテグスを持っていきました。 
当時コロナ禍だったこともあり、病院に家族が面会に来たりすることは出来ず、個室では1人で塞ぎ込んでしまうと思ったので、 入院仲間を作ろうと思い大部屋に入院することにしました。 
入院初日、同室だった65歳と78歳の方に挨拶をし、 お二人とも眼鏡をかけていらっしゃったので、早速ビーズでお花の眼鏡チェーンを作って、宜しくお願いしますとプレゼントしました。 



2人ともとても喜んでくれて、毎日眼鏡チェーンをつけ院内をお散歩。 
看護師さんや他の患者さんたちに、それ可愛いね〜どうしたの?と聞かれると、 saoさんが作ったのよ!可愛いでしょ!と言ってくれてたみたいで、 なにやらビーズで色々作る人が〇〇号室にいるらしいと、他の部屋から私の病室に遊びに来てくれる方がちらほら現れました。
キラキラの笑顔で、ビーズアクセサリーを見てくれる患者さん達と、自分の生い立ちや、趣味や好きな事、病気の事、色んな話をしました。 
年齢もそれぞれで、皆さん私より年上だったけれど、パジャマでメイクをしていなくても、 身体の一部や髪の毛がなくても、とても可愛くて美しい人ばかりでした。 
心が美しい人は、内面から美しさが滲み出るんだなと、その時初めて思いました。 
仲良くなった方々には、共に頑張りましょう!と、 手術前日にビーズリングをプレゼントしていました。 

ビーズとテグスだと金属じゃないから、普段からお守りに出来るし検査でもつけられると、 毎日身に付けて過ごしてくれる方や、涙を流しながらありがとうと喜んでくれる方もいて、 自分の作ったもので誰かを喜ばせることができるって、 なんて幸せなんだろうと思いました。 
内面から滲み出る心の美しさと笑顔で、皆さん何もしていなくても綺麗だったけど、 退院の日やお出かけの日にメイクをしたり、ウィッグをつけたり、 好きな服を着てアクセサリーを身に付つけてお洒落をすると、 皆さんいつも以上にキラキラしていて、お洒落をすることって素敵だな、 綺麗になる自分を見ると明るくなれるんだなと思いました。
その時に、絶対に退院して元気になって、 自分の得意で大好きな物作りで誰かを笑顔にしたい。 
幸せに生きていくためのパワーを、届ける仕事がしたいと思いました。 
この10年、子育てに全力投球していたので、妻としてでも母としてでもなく、 ただ1人の"私"として接してもらい過ごした入院生活は、辛いことや悲しいこと、涙を流したこともたくさんありましたが、自分の生き方を見つめ直す、 すごく大切な時間となりました。  
そこからは早かったです。 
退院して回復するまでに数ヶ月かかりましたが、半年後にはショップをオープンさせました。 
写真:最初に販売したアクセサリー

家族や友人は、私が生き急いでいるかのように思ったかもしれません。 
一度しかない人生、悔いのないように生きたいと強く思い今に至ります。 
 いつかお話できたらと思っていたのですが、 アクセサリーの魅力だけで、ブランドを成長させていきたい。
アクセサリーを欲しいと思ってもらいたい。 
プロとして本気で仕事としてやっていきたい。 
という小さなプライドがあって、何度か"何故アクセサリー作家に?" と聞かれることがあったのですが、なかなか話すことができませんでした。 
 今では馴染みのお客様がたくさんでき、 普段からdmやお手紙でやりとりをさせていただく中で、 アクセサリーだけじゃなく、 どんな人がこのアクセサリーを作っているのか、何故この仕事をしているのか、 私のことをもっと知ってもらえたら、アクセサリーにこめた想いが伝わるのかなと思い、この文章を書きました。
すごく長くなってしまったのですが、これが私がアクセサリー作家になったきっかけです。 
手芸は何でも好きだったので、販売ジャンルはビーズか刺繍かレジンかでかなり迷いましたが、 レジンの虜になりレジンアクセサリーを選択しました。 
 辛いことや悲しいことは長い人生必ず誰しもあると思います。
私も少しずつ受け入れて、全て自分の糧にして、 ハッピーに生きていきたいなと思っています。
 大好きなアクセサリー作りを仕事にすることが出来た今、 Saupiliを好きだと言って下さるお客様に、全力で愛を届けたいと思います。 
そしてアクセサリーを通して、お洒落をすることで、いつもより綺麗な自分に自信を持って、 前向きに生きていく方の力になれたら、幸せだなぁと思います。 
これからもSaupiliをどうぞ宜しくお願いいたします 。
sao